2011/05/01
毎日、沢山のアクセスを賜りまして本当に感謝いたしております。
今回は、当方のモニタリングXR250’03『くろりん氏』のリアタイヤを交換いたしました。
当初、購入後の状態は一皮剥けたほとんど新品の状態でありました。
ほとんどが通勤使用なのでアスファルトでの磨耗であり通常はてっぺん減りが顕著ですが、さすがはSPボルドール使いだけあって、サイドブロックまで綺麗に減っています。
早速チェンジに取りかかります。
当方で必要な工具は次のものだけです。
タイヤレバーは某メーカーのメカニック専用なので、平型でもスプーン形状でかつ中心から先端にかけてカーブしているので非常に使いよく、20年以上も愛用しています。
リムガードやチューブバルブ出し補助具もありますが、要領次第で必要ありません。
特にトレールタイヤは、ビートが比較的柔らかいので力も必要なく慣れたら1本の交換時間は、
15~20分程度あれば作業できます。
今回は、Fタイヤと同パターンのダンロップD605 4.60-18 を入替えます。
このシリーズはメーカー純正タイヤとして標準的に装着されています。
ブロックパターンも適度な配置で、ON・OFF両乗りとしては無難なタイヤで入手しやすく、価格も手ごろです。(今回は、当方の取引先で卸価格にて仕入れました。)
ただ、OFFよりのD603は非常に減りが早く通称『消しゴム』と称します。
アスファルトメインで、一年もたずに終わった経験があります。
※駆動輪だからフロントよりも当然減りは早いのですが、リエゾンの長いツーリングだと肝心なダート走行をするまでにブロックの角が丸くなりやすくエッジ効果が期待できません。
ちなみに当方のXRでは、現在IRC TR-8 を通勤・林道用、コース・レースはVEシリーズをスペアホイールに装着して使い分けております。(このシリーズはレーサーXRの純正タイヤとして装着されており、相性は抜群です。)
さて、話を戻しまして作業の工程にまいりましょう。
車体をスタンドで浮かしスイングアームからリアタイヤを外しますが、XRは
オープンエンドなのでアクスルシャフトを緩めてチェーンを外し、右アジャスター側にあるアクスルシャフトロックを開放してリアブレーキASSYを外せば、ホイールからアクスルシャフトを抜くことなく後ろから取外せます。この点はXRシリーズ伝統の実戦的な特徴です。
本当は木などの枠で作った台があれば作業がし易いのですが、ここは
『チープ』にタイヤ交換専用古タイヤを台(古タイヤなので結構カチカチです!)にします。
地面に当たらないローター側を下にビートストッパーナットとチューブナットを緩めてチューブ内のエアを抜きます。(気持ち残せば、後のレバー起こしの時噛み込みを防止します)
ビート(通称:タイヤの耳)を両面とも確実に落さないと、後の作業で無駄な力が必要になります。
方法は簡単で、タイヤの上に乗り全体重をかけて靴のかかと部分を使いリムの内側に押込むイメージで踏みます。
最初はガッチリはまり込んでいますが、この動作を1週すればタイヤの耳がリムから外れます。
表の耳が全部落ちたら、裏面も同様に耳を落とします。(表がちゃんと落ちていれば、裏は全体重をかけなくても簡単に落ちます)
ビート部が落ちたら、タイヤレバーでホイールから外しますがバルブの位置からレバーを差します。
これは、タイヤレバー先端がバルブに当たることで必要以上にレバーの差込み過ぎを予防し、タイヤビートを起こす適切な深さとなってチューブにダメージを与えません。
1本目のレバーは先ほどの位置でビートを起こし、2本目はその位置から時計回りで40度程度の位置に差して同時に起こせばリムからタイヤの耳が出ます。なお、タイヤレバーは必要以上に垂直に起こさないことが肝心です。これを守ればホイールリムを傷めることはありません。(カラーアルマイトリムは念のためウエスを敷きました。)
※1本目をスプロケに掛けていますが、ビートのテンションは掛っていません。
後は、1本目を外して交互に2本目の動作を繰返せば徐々にビート全面がすんなり表面に顔を出します。
後はホイールからチューブを取出しますが、バルブをホイールの中に押込んで隙間から出します。(無理に引っ張らないように…)
ホイールからタイヤを外します。
ビートストッパー位置を下にホイールを立てます。当方の場合、ビートが出た面のホイールの隙間からレバーのカーブ面を下側に1本通し、反対側のリム平面に当て体重を掛けてタイヤを反対側に押し起こし、めくる姿勢で引掛かっているタイヤビート周囲をプラハンで打撃を与えビートをホイールから外します。
ホイール内部の状況
【リムバンド=通称:ふんどしの劣化具合やスポークニップルの腐食具合、リム自体の歪みや接合部のクラック確認等】を必ず確認してニュータイヤを組込む準備をします。
まず、リム内の埃やゴムかす(特にリムとタイヤのビートが接触する面は密着性を高めるためエンボス状になっており、かすが蓄積しやすいです!)をブラシ等で掃除してリムの内側とタイヤのビート部にビートクリームを塗布します。
ここでクリームをムラ無く塗布すれば組込み作業が断然楽チンに仕上がります。後は外し方の逆方法で組込めばよいのですが、次のことに注意します。
・タイヤはバルブ位置があるので、タイヤサイドのマーキングとリムのバルブ穴が一致するように組込む。(パターン指定タイヤは進行方向に注意!)
・チューブを入れる時は、少し膨らませればチューブ組込み時のよじれやタイヤビートとの噛込みを予防でき、バルブ出しの時もレバーの先で押せばへこまずにリムから簡単に顔を出します。(ヘビーチューブは厚みがあるので入れなくてもOK)
・最後のビート入れはバルブ位置で終わればバルブが歪まず、後でエアーを入れてビートを出した際のバルブ根元の引裂きを予防します。
無事リムにタイヤを収めた後はエアーの本入れ前に表裏のビート全面を見渡し異物やチューブの噛込みが無いか確認します。
エアーはビートが完全に出るまで注入しますが、大抵は3kgも入れば自然に「ニュッ」と出ます。(ここでビートクリームの本領が発揮されます!)
ちなみに、当方は
『チープ』なのでサブタンク付空気ポンプで地道に入れます。(タイヤ交換でこれが一番しんどい…)
一部だけビートが出てこない時は、ビートがチューブを噛んでいる可能性が大です。
ヘビーチューブだと噛込んでいてもすぐにエアーを抜けば助かりますが、ノーマルチューブだとバーストします。
無事にビート全周出たらバルブ倒れがないか確認し、ビートストッパーを固定して規定空気圧に減圧します。
後はスイングアームにセットして、リアブレーキASSYのセットとチェーンをドリブンスプロケに掛けてリアシャフトの芯出しをします。
チェーンアジャスターはスネルカム方式なので左右簡単に合わせることが可能ですが、ロックナットを締める時に起こりやすいシャフトの両手支持による締め付け時のノッチのズレやチェーンのスプラインに対する遊びの誤差が生じやすいので、次の要領で芯出しをします。
・適度なチェーン遊びを決め、アジャスターのノッチ位置を左右決めてシャフトと左側アジャスターの遊びを無くすため右側に押込むことで仮固定状態にする。
・次にシャフト右側のロックナットを手で閉めこめる位置まで回し、こちらも仮固定状態を保ちます。
・次がミソで、チェーンとドリブンスプロケットの間に適度な円形状の棒(画像はタイヤレバー)を噛ましリアタイヤを後ろに回してチェーンにテンションを掛けてやれば、完全にアジャストロックの遊びが無くなり、ガッチリとアクスルシャフトのテンションも前方に掛かって完全に固定されるので、アクスルの左ナットをレンチで固定しなくても右のロックナットのみで締付けれます。また、チェーンのスプラインも面一となってこれで芯出しが簡単にできます。
・最後に車体後方からチェーンがドリブンスプロケとドライブスプロケに対して一直線で、リアタイヤを空転させてリアディスクローターとの干渉が無ければ作業は完了です。
長々と説明しましたが、これは一連の作業の中のことなので馴れれば自然に身につきます。
今までショップで交換されていたXRオーナー様も一度は実践してみてはどうでしょうか?
案外工賃はバカになりませんから…