2013/11/18
毎日たくさんのアクセスを賜りまして、誠にありがとうございます。
前回記事でも予告いたしましたが、TWRにニューフェイスが加わることになりました。
親類から一任され9月から物色していましたところ、ヤフオクに出品されていた車両に目がとまりました。業者の出品だったこともあり画像や動画等の詳細資料が豊富で、現物確認をしなくても十分な判断材料があり、画像を1枚1枚拡大してポイントを細かくチェックしながら質問をして的確な回答、確証が得れたので入札のうえ無事落札できました。
それは
03’XR250R DK です。
輸送引取り時直後のXR250R。手ぐすね引いて待っていました。
クランキングはしっかりしており、圧縮上死点を探すのは容易でキックの踏み下ろしはスムーズです。エンジンを始動してアイドリングで少し様子を見ましたが、エンジン回転にバラツキがありアイドリングに一定感がなく、アイドルスクリューを調整。数回スナッピングをして落ち着きを戻しましたが、何となくエンジン回転に硬さがある印象を受けます。
ガレージまで13キロほど自走しましたが、マフラーがフルパワー仕様のためXRらしい勇ましいサウンドですが、排気音が半端なく大きいのと走行距離が浅い都合、ガレージまでの移動中はエンジン回転を引っぱらずに様子を見ながら走行。操安性はさすがにレーサーだけあって非常に軽さを感じます。
シフトフィーリングはカッチリした歯切れの良いタッチで、クラッチ操作も問題ありません。
750kmと年式の割りには極端に少ない走行距離だったので、まずメーターの信憑性を疑いましたが、出品時の詳細画像にあったメーター本体や装着タイヤの種類とタイヤの摩耗具合で問題ないと確信しました。具体的にはDK仕様の搭載メーターの場合、国内デジタルメーター以降のXRと同型ですが、文字盤とウォーニングランプに特徴があり、ウォーニングランプの表示は「TURN」と「HIGIBEAM」のみの表示です。また、オドメーターのつまみは固定されている都合、メーター本体の分解ができないため積算距離の戻しによる改ざんも心配ありません。
DK仕様特有のメーターASSY。このレーサーにはイグニションキーが追加装備されています。
タイヤはこれもDK仕様にしか純正装着されていないBSのモトクロスタイヤで、ブロックパターンから製品の種類が判別でき、新車当時のまま装着されているもので走行していたことが分かりました。減り具合も前後とも9分山程度であること、これに付け加えるとエキパイの焼け具合から見ても走行距離を勘案すれば一致します。
次に肝心のフレーム番号とエンジン号機の適合ですが、フレーム番号「JH2ME08983M250***」、エンジン号機「ME08E240***」という打刻であり、パーツリストのシリアルナンバー適合表による照合で一致しましたが、念のため搭載キャブレターの記号番号も合わせて確認できたことにより、逆車によくあるフレームやエンジンの載せ換えなどの不適合な点はありませんでした。
輸出仕様車の証であるコーションラベル
また、DK仕様の特徴であるヘッドライトや左ハンドルスイッチの形状にハンドルロックの装備、装着チェーンの種類(DID520VC5)やマフラーディフューザーなども間違いなく、全てオリジナル車体であることが分かりました。
使用状況も、外装パーツの状態にフレームサイドやクランクケースの塗装も非常に綺麗で転倒傷も無く、オフロード未走行車体に見受けられます。
細かく見ると保存状態は非常に良いのですが、インナーフォーク上部に薄い赤錆やマフラー上部に白い点錆が目立ちます。多分に屋外でシートカバーを被せた保管だったのではないかと想像します。しかし、磨けば十分修正でき何ら問題ありません。フォークブーツ内のコンディションは非常に綺麗で、インナーフォークのメッキ肌にはストローク時の縦傷は一切見当たりません。前後サスペンションの作動は、まだ若干ながらもぎこちなさを感じます。
エンジンヘッドやシリンダー、ブレーキキャリパーやマスターシリンダー類の無塗装アルミ鋳造パーツによく出る白い粉吹錆は全く見当たらず、フォークブーツやエンジンヘッド、リアダンパー等に微粒な埃が付着している程度です。また、とても気になっていたフレーム及びエンジン下部のコンディションは完璧で、飛び石による傷や打痕は一切見受けられませんでした。
唯一、経年劣化のためエアクリーナーエレメントのスポンジが朽ちている状況ですが、年数から考えると消耗品としての交換時期は超えていますのでやむをえないでしょう。
価格についても、コンディションが良くていじられた形跡の無いオリジナルXR250Rとしては、「破格」の値段で落札できたと思っています。落札金額からすると現行車種ではCRF250Lが買える金額ですが、何故今更ながらXRなのかというと、それは『純粋なオフロードレーサーバイク』だからです。
空冷ながらもホンダ伝統のRFVCエンジンで、耐久性はBAJA1000など有名デザートレースでの活躍はもとより、世界での販売実績数が何よりもの証拠だと思います。今のオフロードバイクはいわゆる
「デュアルパーパス」という位置づけであり、生産コストの都合メーカーもやむをえないのでしょうが、サスストロークは短くて減衰調整機構は省略され、吸気装置も「インジェクター」方式ですから自動補正してくれるのでメンテナンスフリーという長所もありますが、単純にエキパイやマフラーを交換しても本来の性能も発揮しないでしょう。やはり、
自己流のカスタムを施して乗り味を変えたり本物志向で本気でオフロードやツーリングを楽しく走りたい、いつまでも末永く付き合いたいというのであれば、国内外仕様を問わず『XRシリーズ』しかないと言っても過言ではないと思います。(2ST同様、排ガス規制の関係で後付AIシステムでは対応できないので、もう二度とXRのような真のオフロードバイクが登場することはないでしょう…)
事実、生産終了してから輸出仕様で9年、国内仕様で4年経過した現在でもXRシリーズは大変人気のあるオフロードバイクであり、中古車でも年式や程度にもよりますが、結構な金額で販売されているということ、販売価格が落ちないのは引き合いのある揺るぎない証拠です。
手始めはエンジンASSYのコンディション状態からじっくり確認してTWR風チープチューンを施していきたいと思いますが、メンテやチューンの状況は随時UPしていきます。
今回は納車から登録手続き、整備まで当方が全て受け持つこと、モニタリング車両としても参加することで、当方といたしましてもレーサーXRを2台も携われることができると思うと、とても嬉しい限りでございます。
当方MD30を含めて記念撮影。3台のXR250が並ぶと結構迫力があります!
できるだけオリジナルの形で所有したいという意向もあり、特徴を損なわない『チープチューンカスタム』をこれから施していきたいと思いますが、メンテやカスタムにつきましてはこれから随時ご報告していきたいと存じますので、是非ご期待ください。